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2023年末

12 29, 2023
長い記事は書けないのでいくつかのトピックをまとめて。

■2023年競馬
年末になり、事前に予告されていたタイトルホルダーだけではなく、グレナディアガーズ、ピクシーナイト、スルーセブンシーズ、ダノンザキッドが相次いで引退を発表。
有馬記念終わりに現地でタイトルホルダーの引退式を見ながら、競馬を始めたときの「初期衝動」みたいなものが終わったんだなあ...とつくづく思った。
そういう意味で21年クラシック世代の最後の晴れ舞台として有馬記念を見に行けたのは本当に良かった。
もちろん22年クラシック世代にも好きな馬は非常に多いし、シャフリヤールも現役続行を名言してくれているのでまだまだ「熱が冷めた」という感じにはならないとは思うが。
好きな馬についていくつか備忘録。

・ドウデュース
勝ってくれたことは本当に嬉しいがこの馬の底がますます見えなくなった。
東京のような直線の長いコースよりはコーナーがタイトでパワーが必要な中山や阪神内回りみたいなコースが合ってる気がする。

・シャフリヤール
末脚のキレは残念ながら落ちてるがスタートの上手さ、テンの速さに安定感が出てきて先行競馬ができるようになったのは好材料。ダービーの頃のような爆発力で一気に差し切る展開よりも好位につけて押し切るドバイSCみたいなレースをすればG1でもまだまだ通用すると思う。

・スターズオンアース
春4戦目のオークスが最高のパフォーマンスだったように叩き良化型なのに脚元の問題でずっとぶっつけになってしまっていたのが本当に勿体ない。なんとか来年は脚元と相談しつつ戦ってほしい。


■『シン・仮面ライダー』が合わなかった
仮面ライダーに思い入れがないのもあるが全然合わなかった。
これを見て庵野秀明は自分の良さを分かっていないんじゃないか、と思ってしまった。
庵野が群を抜いて凄いのは「段取りを演出的にどう面白く見せていくか」という部分だと思う。
『Air』までの「エヴァンゲリオン」シリーズ(と『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』)が良かったのはその部分で、『シン・ゴジラ』が良かったのは徹底して段取りを丁寧に描くことが面白さに直結したからだと思う。

9年ほど前にneoneowebで「世界の行方の物語」という言葉を使ったけど
結局庵野が得意なのは「世界の行方」をどう段取り良く描くか、という部分なのだと思う。

だから「庵野が作りたい画」の羅列になってしまった『シン・仮面ライダー』も『シン・ウルトラマン』も評価できないし、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も作品単体で見れば相当イマイチだと思う。

庵野はこれからどうするんだろう、自分がリメイクしたい作品を作り続ける限りは「庵野のやりたいこと」と「庵野の得意なこと」の齟齬はずっと続いていくと思う。


■『ゴジラ-1.0』の視点の曖昧さ
大ヒット上映中の『ゴジラ-1.0』だがどうも好きになれない。別に山崎貴の愁嘆場ドラマが嫌なわけでも東京襲撃時のゴジラの導線がさっぱり映画内で理解できないことのせいでもなく、たった1つのシーンのせいだと思う。

途中でビキニ環礁核実験(クロスロード作戦)が突如ナレーションと共に描かれる。
今回のゴジラは徹底して神木隆之介の視点で進むと思っていたから面食らった。これは誰の視点の語りなのだろうか?観客以外の誰が受容した情報なのだろうか?
おそらく「ゴジラ誕生(?)と核実験の因果関係」を明確にするために挿入したシーンだと思うが不快なノイズでしかない。
作中の誰も受容できない情報を観客へのエクスキューズ(あるいはゴジラ映画の「お約束」)として挿入する、ということにどうにも違和感を覚える。

すべての情報を徹底して作中人物たち全員が共有し続ける『シン・ゴジラ』と比較してしまうとどうしても映画として数段落ちるというのが僕のこの映画への評価です。

■カウンターとしての『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
年末にとんでもない映画が公開された。
「戦後」というものに対する評価が『ゴジラ-1.0』とここまで思想の違う作品が出てくるとは。

吉岡秀隆の「この国はいままで命を大事にしなさすぎました」(≒だから戦後を生きる僕らは命を大切にします)という言葉に代表されるように終戦を起点として日本の価値観は断絶している、という思想の『ゴジラ-1.0』。
戦前よりより製造が続けられている血液製剤Mの生産で「経済大国」を目指す、という登場人物たちの思想を通じて戦前より続く醜悪な「天下国家ニッポンという幻想」は形を変えこそすれ簡単に変容することはない、という思想をはっきり銘打った『ゲゲゲの謎』。
そもそもが「M」という言葉自体が日本軍が秘密裏に秘匿していたという秘密財産「M資金」や戦中の日本軍兵士が使用していたというヒロポンを想起させるように意図的に演出されている。

どちらの思想が優れているか、というわけではないが僕は後者を支持する。
やはり東宝作品に対してカウンターを打つのは東映なのだ。


『シン・仮面ライダー』と『ゲゲゲの謎』は余裕があれば個別記事書くかもです。
喪中につき諸々の挨拶は遠慮させていただきますが来年が皆様にとっても良き年でありますように。

5月UMAまとめ

06 03, 2022
時は来た。

①各レース収支

・プラス収支:京都新聞杯、新潟大賞典、オークス、目黒記念
・マイナス収支(トリガミ):天皇賞(春)、NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイル、日本ダービー
・払戻ゼロ(完敗):京王杯スプリングカップ、葵ステークス


収支プラスのレースでいずれも大きくプラスとなった。適度に混ぜた3連複がいずれも大きなプラスとなって収支は
大幅に改善。

②各印平均着順

■5月  ◎2.90(↑) ◯6.40(↓) ▲7.40(↓)
■通算 ◎4.58(↑) ◯5.12(↓) ▲6.15(↓)


とにかく本命◎の数値が3を切ったのが一番うれしい。
先月書いた「本命は『馬券の軸』ではなく自分の中で『1着最有力』」という発想の転換が功を奏した。
本命◎の安定が見えたので◯▲は相当に振り回した。なので大幅に下がったのは仕方がない。

印別連対率/複勝率は下記の通り。
◎(4-3-1-2)連対率70%、複勝率80%
◯(1-1-2-6)連対率20%、複勝率40%
▲(1-1-1-7)連対率20%、複勝率30%

③今月の収支(中央)

購入:68600円 払戻:99560円 収支:+30960円 回収率145%


月初にディープボンド単勝10000円という大マイナスだったにも関わらずその後しっかり立て直せた。
「堅いところに大振りする」という投機的な買い方ではなく、あくまで
「予想」→「印を回す」→「買い目を判断」というルーティンで的中を狙いたい。

④その他
オークスデー、ダービーデーと2週連続で東京競馬場でレースを見ることが出来た。
やっぱり生観戦は良い。馬券で勝ったか負けたか、そういうことが無化される。

特に日本ダービー、まさしく壮絶な一戦だった。
レース自体の回顧は個別記事に譲るが、その後の状況について。
レース後にジオグリフ・マテンロウレオ・イクイノックスが相次いで
怪我が発覚、という後味の悪さが残っており、なんともいえない気分にはなっている。
非常に見応えのある戦いだっただけに馬にかかる負担は非常に重かったのだろう。
どの馬も怪我を直してまたレースで魅せて欲しい。切に願う。

これから何度もそういう場面には出くわすだろう。重賞での予後不良だって経験するだろう。
それでも、僕は競馬をやめないだろうし、また現地でレースを見たい、そうも思う。

さて、今週末の安田記念をもって東京5週連続G1は終わり、月末の宝塚記念を挟んで
いよいよ本格的な夏競馬シーズンが始まる。
ローカル開催・ハンデ戦・2歳限定戦・夏の上がり馬など更に予想は難しくなる。
去年は非常に苦い思いをした。今年はどうだろう、わからない。とにかく見続けたい。

1月UMAまとめ

02 03, 2022
先月は映画を3本も観られました。(少ない...)
「呪術廻戦0」「ハウス・オブ・グッチ」「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」です。
どれも観てよかったです。

それはともかく、1月の競馬結果まとめです、ちゃんと毎月回顧を書こう。
先月末の大井競馬場に引き続き、さっそく1/23に中山競馬場に行ってきました。
生ファンロンと生ノリさんに興奮(なんでや)。



①各レース収支(プラスマイナスのみ)

プラス収支:シンザン記念、愛知杯、京成杯、東海ステークス、AJCC、TCK女王盃
マイナス収支(トリガミ):フェアリーステークス、日経新春杯、白富士ステークス
払い戻しゼロ(完敗):報知オールスターカップ、中山金杯、京都金杯、シルクロードステークス、根岸ステークス


買い方的にガミりはしょうがないとして、払い戻しゼロは避けたいですね...
予想がまだまだ甘い。1着馬を完全に消してしまったのは根岸ステークスのみ(それ以外は全部△☆評価)なので
もう一歩か。

■悔しかったレース:中山金杯(◎トーセンスーリヤ ○ヒートオンビート ▲レッドガラン)


気まぐれで▲からの馬連を買ってなかった。120倍という高配当だったので落としてはいけなかった。
オッズ確認は軸馬ごとにきちんとやるのを癖にしたほうが良いですね(未だにやってない)。



②各印平均着順
◎5.43着 ○3.86着 ▲5.57着

夏競馬という地獄をまだ経ていないので一考の余地ありだが大幅に改善。特に○。
もはや○と◎を逆にして買ったほうが良いのでは...

■惜しかったレース:中山金杯、京都金杯、日経新春杯


正に◎と○を入れ替えれば3連複が取れていたレースで、かつ払い戻しゼロかめちゃくちゃガミったレース。
死んだ子の年を数えるようで嫌なのだが、◎と○を入れ替えた場合の収支を書いてみよう。
...1回書いたけどやめた。悲しすぎる。
でもやはり○を◎にできなかった理由はそれぞれあると思う。

・中山金杯
スーリヤのがヒートオンビートより相当に強いと信じてた

・京都金杯(◎バスラットレオン ○カイザーミノル ▲エアロロノア)
横山典弘を信じられなかった、強い4歳世代への盲信

・日経新春杯(◎フラライクバード ○ヨーホーレイク ▲クラヴェル)
ヨーホーレイクは長期休養明け、ステラヴェローチェはローテがキツすぎる

金杯2つはいけたなあ。前の記事でも書いたけど「よく分からん盲信(先入観)」を捨てて予想を組み立てよう。
逆に日経新春杯は難しそう。というのも臨戦過程を重視することにしてるから。まあ仕方ない。

■予想が変われば3連複でも(馬連のみ購入):愛知杯、京成杯、シルクロードステークス

愛知杯、京成杯は馬連200円ずつでかなり収支は取ったが、三連複で相当良い配当になってるレース。
もちろん3着馬も買い目には入ってる。ロジハービンは本命に置けたかも。ルビーカサブランカは難しかったかなあ。
重賞未経験馬とか重賞近走大敗経験しかない馬ってどうしても軽視したくなる。

■良かったレース:AJCC
◎オーソクレース(6着) ○キングオブコージ(1着) ▲ラストドラフト(10着)
△アサマノイタズラ(4着)、ポタジェ(5着)、ボッケリーニ(3着)
☆アンティシペイト(11着)、マイネルファンロン(2着)


馬連300倍超は相当嬉しい。1〜6着までちゃんと印が回ってる。
ここでも◎と○を逆に(ry

ちなみに昨年最も予想がうまくいったレースは阪神ジュベナイルフィリーズ。
ラヴリイユアアイズがあそこまで軽視されている理由が分からず、ちゃんと印を回せていた。
サークルオブライフにもしっかり本命を回せていたし。
「いくら検討しても軽視される理由がわからない」という馬を見極めよう。



③今月の収支(中央競馬のみ、平場含)

購入:53900円 払戻:83970円 収支:+30070円 回収率:155%


まあ完全にAJCCのおかげ。月初と月末に壮絶に負けているのでそういう「丸っきりダメ」という負け方はいけない。
せめてガミりにとどめよう。



④今月
当たり前だが頑張る。丁寧に予想していこう。
とりあえず今日(2/2)の川崎記念(JpnI)は3連単/ワイド外しの馬単200円で4000円弱プラス。
結局買い方変えてるやん。(まあエルデュクラージュは2着付け出来ない...)
ヒロイックテイルを切れたのは良かった。先行のデムーロは危険。

【直近の重賞で先入観を無くしてチェックする必要のある馬】
・東京新聞杯
軽視してはいけない:プリンスリターン、カレンシュトラウス(現状の本命:カラテ or ホウオウアマゾン)
人気馬だが要注意:カラテ(高速馬場では?)、ファインルージュ(秋華賞組の悪成績)

・きさらぎ賞
軽視してはいけない:シェルビーズアイ、セルケト、エアアネモイ(現状の本命:マテンロウレオ)
人気馬だが要注意:アスクワイルドモア(ホープフルS大敗)、ダンテスヴュー(東スポ杯のレースレベルが?)
※同じく大敗(11着)したオニャンコポン(京成杯1着)はホープフル直前に熱発と陣営から発表あり

フェブラリーS(2/20)からGIも始まる。クラシック路線も本格化と楽しみが多い。
去年からきちんと2歳重賞を追いかけてきた成果をちゃんと出そう。

個人的雑記 東映映画について

01 28, 2014
1、東映時代劇危機の時代
①他社の動き
1961年 黒澤明『用心棒』(東宝)公開
1962年 黒澤明『椿三十郎』(東宝)公開
殺陣における斬撃音、出血描写の登場。東映時代劇の「チャンバラ」に対して「リアリズムの殺陣」と呼ばれる。殺陣師:久世竜。

1962年 三隅研次『座頭市物語』(大映)公開
1963年 田中徳三『眠狂四郎殺法帖』(大映)公開
勝新太郎、市川雷蔵の台頭、スターの交代。「暗い時代劇」の登場→伊藤大輔などの「傾向映画」の影響?

②時代の動き
1958年:11億3000万人
1968年:3億1000万人(山根貞男『活劇の行方』より)
劇場数も急減少。
1961年:新東宝倒産

1960年:安保闘争。大島渚『日本の夜と霧』公開
1963年:NHK大河ドラマ『花の生涯』放送
1964年:東京オリンピック開催
その他、文化大革命・四大公害病・ヒッピー文化・劇画流行 など

③東映時代劇の危機と仁侠映画の登場
1961年:第二東映設立
1963年:ニュー東映閉鎖

1963年 工藤栄一『十三人の刺客』山下耕作『関の弥太っぺ』沢島忠『人生劇場 飛車角』公開
1964年 マキノ雅弘『日本侠客伝』公開
1965年 佐伯清『昭和残侠伝』公開
以後、仁侠映画全盛期へ(~1973年、深作欣二『仁義なき戦い』公開をもって終焉)



2、東映チャンバラ時代劇と東映仁侠映画
仁侠映画:「チョンマゲを取った時代劇」という一般的評価

①山根貞男『活劇の行方』
<ハレ>と<ケ>(民俗学用語)から東映チャンバラ時代劇と仁侠映画の差異を説明。
<ハレ>非日常の世界 <ケ>日常の世界

東映チャンバラ時代劇の<ハレ>:
仲間との親和の中にあり、明朗な映画的世界観により死の要素を無効化

東映仁侠映画の<ハレ>と<ケ>:
賭場や襲名披露→そこには厳しい掟があり、それをもって初めて<ハレ>が表出される
殺陣→<ケガレ>を内面に孕んだ<ハレ>である、死の要素を顕在化させた

②仁侠映画と時代劇映画の相克としての『関の弥太っぺ』
股旅物として、人情話を内包するはず
:実際はやくざ社会の掟の厳しさを描き、「死の気配」を内包した、痛ましい悲劇となった
のちに『博奕打ち 総長賭博』でもみられる「立場への固執」(佐藤忠男『日本映画の巨匠たち③』)の趣きも

しかし、殺陣はまだ斬撃音・出血描写ともにほとんどなく、弥太郎に「やくざ」としての強い自意識や、組織的な束縛は見られない
→股旅物(≒東映チャンバラ時代劇)を引きずっている?

・一人の女性(十朱幸代)を巡る兄弟同士のいさかいが悲劇を生み出す構造


3、『博奕打ち 総長賭博』(1968)と『博奕打ち いのち札』(1971)

1969年 東大安田講堂事件
1970年 三島由紀夫割腹自殺
1971-1972年 山岳ベース事件
1972年 あさま山荘事件
→全共闘運動をはじめとした学生運動の盛り上がり、テロル・内ゲバの時代


『博奕打ち 総長賭博』
(1968.東映京都)
やくざ社会における擬似的親子関係という「立場への固執」が生み出す悲劇、一種の内ゲバ?(ギリシャ悲劇の影響)
→従来の仁侠映画(善なる旧組織 対 悪なる新組織)の構造を一部否定

脚本:笠原和夫によるもの 昭和10年代、日中戦争の拡大に伴う大陸進出政策が背景にある(決して前景化しない)
→まだ「善なる旧組織」という思考を完全否定できない

『博奕打ち いのち札』(1971.東映京都)
男女の恋愛感情を封殺する、やくざ社会の掟(ここでも擬似的親子関係)を初めて明確な「障害」として描写
→従来の仁侠映画における、男女恋愛のプラトニックな関係性とホモソーシャル社会を補填していた「兄弟盃」「親分子分」の関係をようやく否定、唾棄すべき「因習」として描く

『関の弥太っぺ』で見られた男女恋愛と掟の対立構造が再び顕在化
→新左翼における男女恋愛と活動の奇妙な一致(例:若松孝二『天使の恍惚』1972)を無意識に踏襲?
吉本隆明「対幻想」

1973年 『仁義なき戦い』公開
任侠やくざ映画の終焉
→古きよき組織、時代(明治~昭和初期)を否定、終戦直後のカオスと弱肉強食の組織闘争がそれに取って変わられる

東宝ニューアクションの異端児「白昼の襲撃」

04 14, 2011
監督:西村潔
音楽:日野皓正
出演:黒沢年男(現:年雄)、高橋紀子、出情児、岸田森、緑魔子、殿山泰司 他

仕事を転々としながら悶々とした日々を送る修(黒沢年男)。そんな彼はある日、少年院時代からの親友・佐知夫(出情児)とあるバーで出会い、拾ったという拳銃を渡される。その拳銃を使いスーパー強盗などをして暮らす修達だったが、ある日車泥棒をしようとした際、ふとした拍子で大学生を射殺してしまうところから運命の歯車が狂っていく...


かつて東宝ニューアクションというジャンルがありました。「狙撃」「弾痕」「薔薇の標的」「野獣死すべし 復讐のメカニック」や「野獣都市」に至るまで、制作されたのは極めて短期間(1969年~75年ぐらい)ながら非常に刺激的な作品が多いです。しかし、現在のDVD化でもかなり冷遇されているのも事実です。(最近ほんの一部の作品だけDVD化されましたが)

中でも、松田優作氏曰く「東宝ニューアクションの唯一の担い手」こと西村潔監督の作品は冷遇されており、東宝が出したのは「豹は走った」「黄金のパートナー」の二本のみ。その他キングレコードから「ヘアピン・サーカス」(残念ながら僕は未見ですが傑作との話です)がDVD化されていますが、初期の二本(「死ぬにはまだ早い」「白昼の襲撃」)はビデオ化すらされませんでした。まあそもそも監督本数が少ない方なんですが。

今回はそのうちの一本です。(昨年チャンネルNECOにて録画)

なんというか、金が掛かってないのが良く分かる映画です。しかしそれを独特のシャープな映像感覚で処理してしまう西村監督の手腕はさすが。日野皓正の気だるいトランペットもマッチしています。

なにより岸田森との対比が素晴らしい。インテリで人を殺したこともない男と、生まれたときから不幸な人生を歩んできた男。同じような事を行いつつもその志向が全く異なる。将来のためのテロ計画に金を使う岸田森、ただただ刹那的な暴走をしていく黒沢年男。しかし行き着く先は同様に「死」。

結局登場したキャストの殆どが死んでいくのだが、どこまでも往生際が悪いのは殿山泰司。これも戦前からのやくざと戦後派のコントラストを意識してるのかな、「仁義なき戦い」の金子信雄と菅原文太のごとく。

しかし、いくらやくざが出てきても組長が洋風の一軒家に住んでいるのはやっぱり東宝の映画といった感じ。(正確には東京映画だけど)

ところで、なぜ東宝ニューアクションの「異端児」なのかというと、「プロ」が出てこないからです。「狙撃」「弾痕」「豹は走った」「薔薇の標的」はいずれも殺しのプロの話。「ヘアピン・サーカス」「死ぬにはまだ早い」もプロは出てくる。
しかしこの映画は徹底してアマチュア、というか素人です。だから収拾が付かなくて皆殺しという凄まじいラストに繋がっていく。(他の映画だとプロなりの収拾の付き方とをしてますね)


ただ、この映画は登場する若者3人の描き方が類型的すぎる。もはや「ズッコケ三人組」レベル(というのはさすがに失礼だけど)。あと、それぞれの生い立ちが結局台詞で処理されちゃっているのも残念でこれが原因でラストに感情移入があまりできない。

まあ是非見て欲しい傑作というほどではないが佳作でありました。ちなみに西村監督の処女作「死ぬにはまだ早い」は大傑作でございますが、これはまた別の機会に...


やっぱ邦画のがサラサラ語れるなあ。次の映画は未定でありますが深作欣二監督作あたりを書けたらいいなと思ってます。
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