『それいけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコⅡ』1話3話...のはずがなぜかエヘクトの話に
01 24, 2015
さて『Ⅱ』です。新房ファンならこっちのが楽しいのかも。もともと「人の死なない戦争」というのが大前提としてありますが、一期に比べてもより遊戯的なお話になっていきます。
ところでOP原画の三塵胡之手(=みじんこのて?)ってどなたなんでしょうね。
第1話「真夏のチャレンジャー」(1997.8.6)
この回は盟友・阿部紀之監督と新房監督がコンテ、演出は大橋誉志光さん。一期の時に書き忘れましたが『ヤマモト・ヨーコ』って大橋さんの演出デビュー作なんですね。大橋さんのコンテ好きです、『鋼の錬金術師FA』(2009-2010)の25話とか。

一期に比べて画面上の最大の違いというと、デジタル処理でしょうか。画像だと分かりにくいですが、実際の画面見るとデジタル撮影でスライドさせていることが分かります。大々的にデジタル処理やCGが導入された『天空のエスカフローネ』が1996年ですし、ちょうど一期と二期の間に移行期が来はじめたのかも知れません。
第3話「桜月夜のシンデレラ」(1997.12.22)
2話は少しガッツリ書きたいので先に最終回。といってもそこまで最終回らしい内容じゃないんですが。

のっけから佐々木政勝さん。キャプ撮ってませんがこの直前にTA29αがスラスターふかして反転するとこも良いです。『ヤマモト・ヨーコ』はスラスターの描写が全体的に丁寧です。

新房さん鏡に映る顔とか好きですよね、これって市川崑さんより実相寺昭雄監督の影響が強い気が。元をたどればゴダールかも知れませんが。この回自体は寺東克己さんがコンテなのでコンテ修で新房さんが足したんですかね。



梅津泰臣さんはたぶんこの辺。フーリガーのデザインって梅津さんの作画と親和性高いですよね。ヨーコも『MEZZO FORTE』の、桃井会長の娘みたい。



この辺松田宗一郎さんですかね。ディティールよりも見た目の印象で魅せる。
炎系のエフェクトっておそらく橋本敬史や柿田英樹さんに代表される「ディティール系」と藤井慎吾さん、松田宗一郎さん(おそらく江面久さんも)らに代表される「写実系」に大別されるんですけど(磯光雄さん入れると考えることが多くなりすぎるので今回は割愛します)、「爆発をリアルに(≠現実を写し取って)描こう」といういう方向性は一緒でも立脚点(≒描写の根拠)が違うんじゃないかな、と思います。
ここで実写の爆発の例を一つ。
アンタレスロケットが打ち上げ失敗で爆発 墜落映像
ロケットの爆発なんかは顕著ですけどカメラで撮ると露出オーバーで細かいディティールが潰れてしまう。なので人が爆発を観たときの印象って確かに、「ピカッ!ドカーン!」っていう言葉通りなんです。爆発自体(ピカ)はまぶしくて見辛いけどそのあとの煙の広がり(ドカーン)は目で追える。
その「ピカッ!」という現象に対する目の印象を絵に落とし込んだのが「写実系」なのかな、と。だから全体的なフォルムの動きを重視するわけです。それに対して「ドカーン!」を重要視するのが「ディティール系」の作画。煙の巻き込みとか広がりを大切にする。
もちろん、全体的な傾向というだけの話で細かいところでいえば橋本敬史さんや柿田英樹さんも透過光処理で上手くディティールを潰しますし、青山浩行さんは『鋼の錬金術師 ミロスの聖なる星』(2011)での爆発でわりとディティール描き込んでます。むしろ画面の必要性に合わせて上手く使い分けてるんじゃないかな。
当初は「ディティール系=現象としてのリアル」「写実系=視覚的なリアル」という話にしようとしたんですが、それも違うなあ...と思ってダラダラ書きました。
そうするとやっぱ凄いのはこの作画。

いわずと知れた『王立宇宙軍』(1987)庵野秀明パート。
この直前の、氷の破片がバラバラと落ちるとこも凄いですが(あそこは35mmフィルムで観たいです)、ここも。真ん中のロケット自体はBOOKをスライドで上に引いてるだけなんですが、ロケットの発射炎自体は透過光処理で露出オーバーを再現しつつ、煙に変化した炎が周囲で動き続ける。視覚的な印象と現象的リアルを上手く嘘をつきながら混ぜてる。ほんとは周りの煙ももっと透過光ガッツリ入れてディティール潰すほうが現実の映像に近いですが、それだと「眩しい」という印象しか残らない。それを上手くコントロールしてます。やっぱ良いなあ。
ほんとは2話について書くつもりだったんですが長くなってしまったのでこの辺にします。2話だけの記事だとボリューム足りないんですが...
ところでOP原画の三塵胡之手(=みじんこのて?)ってどなたなんでしょうね。
第1話「真夏のチャレンジャー」(1997.8.6)
この回は盟友・阿部紀之監督と新房監督がコンテ、演出は大橋誉志光さん。一期の時に書き忘れましたが『ヤマモト・ヨーコ』って大橋さんの演出デビュー作なんですね。大橋さんのコンテ好きです、『鋼の錬金術師FA』(2009-2010)の25話とか。

一期に比べて画面上の最大の違いというと、デジタル処理でしょうか。画像だと分かりにくいですが、実際の画面見るとデジタル撮影でスライドさせていることが分かります。大々的にデジタル処理やCGが導入された『天空のエスカフローネ』が1996年ですし、ちょうど一期と二期の間に移行期が来はじめたのかも知れません。
第3話「桜月夜のシンデレラ」(1997.12.22)
2話は少しガッツリ書きたいので先に最終回。といってもそこまで最終回らしい内容じゃないんですが。

のっけから佐々木政勝さん。キャプ撮ってませんがこの直前にTA29αがスラスターふかして反転するとこも良いです。『ヤマモト・ヨーコ』はスラスターの描写が全体的に丁寧です。

新房さん鏡に映る顔とか好きですよね、これって市川崑さんより実相寺昭雄監督の影響が強い気が。元をたどればゴダールかも知れませんが。この回自体は寺東克己さんがコンテなのでコンテ修で新房さんが足したんですかね。



梅津泰臣さんはたぶんこの辺。フーリガーのデザインって梅津さんの作画と親和性高いですよね。ヨーコも『MEZZO FORTE』の、桃井会長の娘みたい。



この辺松田宗一郎さんですかね。ディティールよりも見た目の印象で魅せる。
炎系のエフェクトっておそらく橋本敬史や柿田英樹さんに代表される「ディティール系」と藤井慎吾さん、松田宗一郎さん(おそらく江面久さんも)らに代表される「写実系」に大別されるんですけど(磯光雄さん入れると考えることが多くなりすぎるので今回は割愛します)、「爆発をリアルに(≠現実を写し取って)描こう」といういう方向性は一緒でも立脚点(≒描写の根拠)が違うんじゃないかな、と思います。
ここで実写の爆発の例を一つ。
アンタレスロケットが打ち上げ失敗で爆発 墜落映像
ロケットの爆発なんかは顕著ですけどカメラで撮ると露出オーバーで細かいディティールが潰れてしまう。なので人が爆発を観たときの印象って確かに、「ピカッ!ドカーン!」っていう言葉通りなんです。爆発自体(ピカ)はまぶしくて見辛いけどそのあとの煙の広がり(ドカーン)は目で追える。
その「ピカッ!」という現象に対する目の印象を絵に落とし込んだのが「写実系」なのかな、と。だから全体的なフォルムの動きを重視するわけです。それに対して「ドカーン!」を重要視するのが「ディティール系」の作画。煙の巻き込みとか広がりを大切にする。
もちろん、全体的な傾向というだけの話で細かいところでいえば橋本敬史さんや柿田英樹さんも透過光処理で上手くディティールを潰しますし、青山浩行さんは『鋼の錬金術師 ミロスの聖なる星』(2011)での爆発でわりとディティール描き込んでます。むしろ画面の必要性に合わせて上手く使い分けてるんじゃないかな。
当初は「ディティール系=現象としてのリアル」「写実系=視覚的なリアル」という話にしようとしたんですが、それも違うなあ...と思ってダラダラ書きました。
そうするとやっぱ凄いのはこの作画。

いわずと知れた『王立宇宙軍』(1987)庵野秀明パート。
この直前の、氷の破片がバラバラと落ちるとこも凄いですが(あそこは35mmフィルムで観たいです)、ここも。真ん中のロケット自体はBOOKをスライドで上に引いてるだけなんですが、ロケットの発射炎自体は透過光処理で露出オーバーを再現しつつ、煙に変化した炎が周囲で動き続ける。視覚的な印象と現象的リアルを上手く嘘をつきながら混ぜてる。ほんとは周りの煙ももっと透過光ガッツリ入れてディティール潰すほうが現実の映像に近いですが、それだと「眩しい」という印象しか残らない。それを上手くコントロールしてます。やっぱ良いなあ。
ほんとは2話について書くつもりだったんですが長くなってしまったのでこの辺にします。2話だけの記事だとボリューム足りないんですが...