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『偽大学生』

02 10, 2013
1960年 製作・配給:大映
原作:大江健三郎『偽証の時』 脚本:白坂依志夫
出演:ジェリー藤尾、若尾文子、伊丹一三、船越英二 ほか
監督:増村保造

原作者の大江健三郎がテレビ放送もソフト化も認めないため、劇場公開でしかお目にかかれない一本。今回は新文芸坐の若尾文子特集で鑑賞した。
東大に四年連続で落ちた浪人生が、せめて気持ちをごまかすために東大生のふりをしていると、とある事情から学生運動に巻き込まれ...という話。
とにかく全篇暗い。救いがないラストもさることながら、主人公が歴史研究会の部室に監禁されるところなど、まさに白眉だ。ひょっとしてこいつはスパイでもなんでもないのでは、と疑う者もいればそれを否定する者もいる。しかし、双方の主張がまったくの主観で説得力を持たないため、彼らが横暴な権力者として敵対する警察よりもはるかに横暴な行為を働いているように見える。また、実質的にはなにも機能していない伊丹一三は最後になってリーダー面をするが、完全に精神錯乱となったジェリー藤尾がその場のイニシアチブを全部奪ってしまい、伊丹が困惑している場面は酷い場面ではあるがむしろ痛快だった。

しかし、この映画の最大の名シーンと言えば、ジェリー藤尾の下宿でご飯を食べる場面だろう。ただ飯を食らい、ジェリー藤尾にもてなさせているのに誰もそのことに感慨も感謝の念も抱かず、あげくに稚拙な彼の言動を冷ややかな目で見る面々。だが、別の場面で若尾が「みんながあなたのことなかなか面白い奴って言ってたわよ」というのは本当に不快である。基本的に何に対する闘争なのかがまったく描かれないのも、むしろ言を弄する学生運動連中のいい加減かつ選民思想的な側面に拍車をかける。
強者の論理によって弱者がつぶされていく。1960年の映画ではあるがいま現在でもまったくもってアクチュアリティを失わない、現在だからこそ顧みられるべき傑作だった。
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